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ボトムアップ型エネルギーシステム構築の文化的重要性 人々の選好を通じた低炭素社会の実現に向けて

■ポイント
① エネルギーシステムに対する選好と文化的裏付けの関係を解明
② 人種集団ごとにエネルギーシステムの選好の差異はあるが、どの集団もクリーンかつ安定供給可能なエネルギーを重要していることを把握
③ 米国の人口動態、電力インフラの地域差、人種集団ごとの選好を反映した将来エネルギーシステムデザインを明示

 

■研究の概要
九州大学 I2CNER(Chapman 准教授, Saha 教授, Karmaker 研究員)、長崎大学環境科学部(重富准教授)及びイリノイ大学原子力?プラズマ?放射線工学研究科(Brooks 准教授)によって構成された研究グループは、強靭で公正かつ効果的なエネルギーシステムの構築にとって文化的要素 (例:人種集団間の価値観の差異) の考慮が重要であることを新たに明らかにしました。
本研究グループは、学際的かつ国際的な視点に基づく研究成果が得られています。

本研究では、文化的要素がエネルギーシステムと結びついており、各人種集団によってエネルギーに対する考え方や優先順位(選好)が異なる点に着目しました。その上で、米国における人口動態の将来変化と電力インフラの地域差を反映させたエネルギーシステムを分析しました。その結果、人種集団ごとに希望する将来エネルギー源はそれぞれ異なるものの、すべての人種集団が安定したエネルギー供給の必要性を認識しており、天然ガスとともに太陽光や風力を中心とした再生可能エネルギーを重視していることがわかりました。そして、人種集団ごとの文化的要素を考慮することで、より公平で民意に沿ったエネルギーシステムが実現可能であり、さらに 2050 年までに再生可能エネルギーの導入が米国エネルギー情報局の予測よりも 19%増加しうることも明らかになりました。

本研究成果は、2022 年 8 月 1 日(月)出版の学術雑誌『Energy Economics』に掲載されました。


■研究の背景と経緯、内容と成果
これまでに行った日本の将来エネルギーシステムの在り方を検討する研究では、人々のエネルギー技術に対する選好を考慮する際に、その差異を生じさせうる所得、教育、年齢階級及び都道府県別に注目して分析を実施してきた。日本と比べると、アメリカは多民族国家のため、より多様な文化的背景とエネルギーシステムの選好の関係を分析することが可能となる。本研究は、市民指導(ボトムアップ)のエネルギーシステムデザインモデルに人種集団ごとの文化的要素の差異を反映させ、今後の人口動態の変化も考慮に入れた将来エネルギーシステムを構築した。こうしたエネルギーアナリシスを国際化し、各国の事情やニーズに合致したエネルギー政策及びシステムデザインに活用していきたい。


■今後の展開
本研究の成果及びエネルギーシステムモデルは、今後アメリカと類似の先進国でも活用することが可能であると考えられる。一方で、本研究に使用したアンケート調査データは 2020 年に収集したものであり、2022 年 2 月から続くロシアのウクライナ侵略によるエネルギー供給ひっ迫を反映していない。このエネルギー供給危機等を考慮し、人々によるエネルギーの安定供給を見越した発電技術への選好が、その 2 年間で変化したのではないかと考えられる。したがって、今後は再生可能エネルギーに対する選好とともに、安定供給を保証できる新型原子力発電及び水素エネルギーの導入に関する調査も進めていきたい。

 

■論文情報
掲載誌:Energy Economics
タイトル:Cultural and demographic energy system awareness and preference: Implications for future energy system design in the United States
著者名:Andrew Chapman, Yosuke Shigetomi, Shamal Chandra Karmaker, Bidyut Saha, Caleb
Brooks.
D O I :10.1016/j.eneco.2022.106141