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長崎大学歯学部の研究グループが提案する薬剤性顎骨壊死に対する新しい治療戦略

骨粗鬆症や多発性骨髄腫?がんの骨転移に対して投与される骨吸収抑制剤(ビスホスフォネート製剤やデノスマブ)は大変有用なお薬です。しかし、これらのお薬を投与されている患者さんが歯を抜いた場合、まれに顎が腐ってしまうことがあります。これを薬剤性顎骨壊死といいます。この病気になると痛みや排膿などの不快症状が出現します。いままではこの病気に対する知見が少なかったので治療方法は積極的に手術などをせずに洗浄や抗菌剤投与で様子を見るのが一般的でした。
それに対し、長崎大学歯学部 口腔外科の大鶴光信講師、林田咲助教らの研究グループは、薬剤性顎骨壊死に対し積極的な手術療法を行うと治癒成績が高いことを明らかにしました。 また、薬剤性顎骨壊死になった場合には骨吸収抑制剤を休薬することが勧められていました。これに対しても手術前の休薬は治癒率に対して影響がないことを明らかにしました。
これらの研究は J Bone Miner Res (2017)、Int J Environ Res Public Health (2022)など、多数の国際誌に投稿されました。

■研究概要
研究の背景
骨粗鬆症や多発性骨髄腫?がんの骨転移に対しては、骨吸収抑制薬が広く用いられますが、重篤な副作用として顎骨壊死の発症が問題となっています。顎骨壊死が生じるとあごの痛み、腫れ、膿が出るなどの症状に患者さんは悩まされ、適切な治療を受けなければ病的骨折や咀嚼不全などの症状を引き起こし、時には敗血症の原因となることもあります。
2010 年に日本口腔外科学会等の関連学会により発表された薬剤性顎骨壊死に関するポジションペーパーでは、この病気に対する治療は保存療法(洗浄や抗菌薬投与などの対症療法)が第一選択とされていました。しかし、保存療法では治癒の確率が低く患者さんの QOL(生活の質)が低くなることが問題でした。手術療法に関しては「手術をしても治らない」「手術をするとかえって壊死が進行する」などのあまり根拠のない理論がまかり通っていました。また、ポジションペーパーでは抜歯前、あるいは顎骨壊死治療時には骨吸収抑制剤を休薬することが勧められていましたが、休薬のために抜歯までの時期や顎骨壊死手術までの待機期間が長くなることにより、患者さんの QOL 低下が長く深刻になる可能性があります。これに対しても「本当に休薬が必要?」なのか疑問がありました。そこで、「本当に薬剤性顎骨壊死は手術療法で治癒しないのか?」「手術前に骨吸収抑制剤の休薬が必要なのか?」を検討することにしました。

■今後の展望
より治癒率の高い治療法が示されたことで薬剤性が顎骨壊死の治療戦略は転換点を迎えています。この病気になった場合、休薬期間をおかずに早期に手術をすることにより患者さんは痛みや排膿などの不快症状から早く解放され QOL(生活の質)の向上が期待できます。すべての患者さんに適応できるわけではないのですが薬剤性顎骨壊死に対する新しい治療戦略が加わりました。

■研究成果
長崎大学歯学部口腔外科の大鶴光信講師、林田 咲助教らの研究グループは、薬剤性顎骨壊死の患者を多施設共同研究により収集し、保存療法と手術療法の治癒率を比較しました。その結果、有意に手術療法の治癒率が高いことを明らかにしました[1]。また、薬剤性顎骨壊死の手術に際して休薬をしない群と 2~6 か月休薬した群をそれぞれ比較したところ、骨粗鬆症患者、悪性腫瘍患者とも治癒率に差はないことを明らかにしました[2, 3]。さらに骨吸収抑制剤によって抑制された破骨細胞は 6 か月程度の休薬では回復しないことも報告しました。[4] これらの成果は J Bone Miner Res (2017)、Int JEnviron Res Public Health (2022)、Sci Rep (2022), J Oral Maxillofac Surg Med Pathol (2022)など多くの国際誌に投稿されました。

■本研究の意義
これまで薬剤性顎骨壊死の治療は保存療法が第一選択でした。そのため治癒率が低く患者さんの QOL低下が問題となっていました。それに対し、早期に手術を行うことにより治癒率が高いことを明らかになったことで薬剤性顎骨壊死の治療戦略にパラダイムシフトをもたらしました。この研究の成果は大きく、骨粗鬆症やがんの骨転移を持つ多くの患者さんが、骨吸収抑制薬の治療を中断することなく、早期に薬剤関連顎骨壊死の不快な症状から解放することにつながると思われます。

休薬と手術成績(骨粗鬆症164例)
休薬と手術成績(悪性腫瘍103例)

■文献
[1] Hayashida S, Soutome S, Yanamoto S,Fujita S,Hasegawa T, Komori T, Kojima Y, Miyamoto
H, Shibuya, Y, Ueda N, Kirita T,Nakahara H.
Evaluation of the treatment strategies for medication-related osteonecrosis of the jaws (MRONJ) and the factors affecting treatment outcome: A multicenter retrospective study with propensity score matching analysis. J Bone Miner Res 2017; 32: 2022-2029.

[2] Otsuru M, Soutome S, Omori K, Suyama K, Morishita K, Hayashida S, Murata M, Takagi Y,Sasaki M, Sumi M, Kojima Y, Sawada S, Sakamoto Y, Umeda M.
Relationship between drug holidays of antiresorptive agents and surgical outcomes in cancer patients with medication-related osteonecrosis of the jaw.
Int J Environ Res Public Health 2022; 19: 4624.

[3] Morishita K, Soutome S, Otsuru M, Hayashida S, Murata M, Sasaki M, Takagi Y, Sumi M,Umeda M.
Relationship between drug holiday of the antiresorptive agents and surgical outcome of medication-related osteonecrosis of the jaw in osteoporosis patients. Sci Rep 2022; 12: 11545.

[4] Morishita K, Otsuru M, Soutome S. Hayashida S, Murata M, Nakamura W, Umeda M.
Duration of drug holiday of oral bisphosphonate and osteoclast morphology in osteoporosis patients with medication-related osteonecrosis of the jaw.
J Oral Maxillofac Surg Med Pathol 2022; 34:467–471.