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「フォームタイムス」に長崎大学大学院工学研究科本九町卓助教の第72回高分子討論会(香川大学にて開催)でのプラスチックのケミカルリサイクルに関する発表内容が記事として掲載されました

 国立大学法人長崎大学(学長 永安 武、以下「長崎大学」)大学院工学研究科?本九町 卓(もとくちょう すぐる) 助教と株式会社アーケムとの共同研究成果が科学新聞「フォームタイムス*」に掲載されました(2023年10月15日)。
 

 ポリウレタンフォーム(PUF)は、プラスチックの一種で、建材の断熱材や自動車の座席、ベッド、ソファなど、多岐にわたる用途で利用されています。しかし、PUFのリサイクルは非常に困難で、プラスチックの中でもリサイクル方法の確立が最も難しいと言われています。今回、PUFをリサイクルするための「炭酸水」を使用した技術を発表しました。炭酸水は、飲料にも使われていることからわかる通り、環境への負荷をかけません(図1)。つまり、炭酸水で化学反応を起こすという、非常に特徴的で環境に優しい化学反応の開発に成功しました。この技術により、プラスチックを焼却する際に発生する二酸化炭素(CO2)の量を減らすことができます(図2)。
 また、使用済みのプラスチックを資源として再利用することができます。これにより、新たな産業が生まれる可能性があります(図3)。この技術は、枯渇資源、CO2排出規制など環境問題の解決に向けた一歩となるでしょう。

 この研究成果は、国際的に目指している持続可能な開発目標(SDGs)にとって大切なことを実現しています。
 具体的には、「7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「9. 産業と技術革新の基盤をつくろう」「12. つくる責任つかう責任」「13. 気候変動に具体的な対策を」「14. 海の豊かさを守ろう」などの目標に貢献しています(図4)。



    図4. 本成果が貢献するSDGsの目標


図1. 炭酸水による加水分解の利点


図2. プラスチックの焼却処理


図3. プラスチックリサイクルのイメージ


■本研究の背景 

ポリウレタンフォーム(PUF)とは

 PUFとは、空気を含ませたスポンジ状態のプラスチックで、ベッドなどマットレスとして睡眠やリラックスタイムを快適に過ごすことを可能にし、心身の健康を増進します。また、自動車や列車での移動が快適なのもPUFのおかげです。さらに、冷暖房の効率を高め、空調などの消費電力を抑えることで、今後の脱炭素社会構築に欠かせない材料となっています(図5)。



 最近では、衝撃や振動を吸収するために電気電子機器の安全性や耐久性を高めるために使用されており、電気自動車(EV)の開発には欠かせない材料の一つとなっています。また、熱や溶媒に接しても形が変わらないため、耐久性もあります。このように、PUFは地球環境、生活環境、そして電子機器の発展といった様々な面で我々の生活の質を高めています。これらの特性により、PUFは私たちの日常生活において重要な役割を果たしています。

廃棄問題
 PUFは、使い終わった後の処理が難しい材料です。これまでの主な処理方法は、地中に埋めるか、焼却するかでした。しかし、環境保護や持続可能な社会を作るためには、リサイクルが重要です。でも、PUFは大きくて、溶媒に溶けないため、リサイクルが難しいのです。さらに、熱を加えても形が変わらないという特性が、リサイクルを難しくしています。
 そんな中、2023年7月に欧州委員会は、新しい車を作るときに使うプラスチックの25%以上を再生プラスチックにすること、廃車になった車のプラスチックの30%をリサイクルすることなど、厳しいルールを提案しました。これは、プラスチックのリサイクルが地球温暖化や大気?海洋汚染といった問題の解決に役立つという考えからです。

■研究成果 
 本九町助教が開発した新しい技術は、炭酸水を使ってPUFを分解する方法です。これは、従来の技術で用いてきた強い酸や塩基、または毒性の高い化合物(硫酸や水酸化ナトリウム、その他重金属)を使わずに、PUFを化学原料に分解します。

この方法で得られる再生ポリオールの純度と回収率は90%以上で、とても効果的なリサイクル技術と言えます。そして、株式会社アーケムの技術力により、この炭酸水で分解した再生ポリオールを30%以上含む再生PUFを作ることができました。この再生PUFは、石油由来のポリオールを100%使って作ったPUF(市場に流通しているPUF)とほぼ同じ性能でした。しかも、この技術で作られた再生PUFは、欧州委員会の厳しい基準をクリアしています。


図6. 新聞記事と本技術で再生した
ポリウレタンフォーム

■今後の展開、将来展望 
 長崎大学は、全学で掲げるプラネタリーヘルス実現という、人間と地球の双方の健康を維持し、豊かな自然と資源管理に貢献する目標を掲げています。
 長崎大学では、地球と人間、そして動植物の健康をより増進する方策を学べます。その技術の一つとしてポリウレタンという”プラスチックのリサイクル”に関する研究成果をここに報告します。

※10月15日発行フォームタイムス?掲載許可を得ております。
https://pu-portal.com/blog/times/2814/

■ポイント 
●本ケミカルリサイクルに用いる触媒は炭酸(水と二酸化炭素)であるため、安全?安心?低環境負荷で、ポリウレタンを分解可能
●従来技術と異なり過剰の薬品を用いる必要がない
●原料の回収率は90%以上で副生成物が無い
●得られた回収原料(ポリオール)からポリウレタンの再生(ケミカルリサイクル)に成功し有用性が示された
持続可能な社会の実現に向けて、現行ポリウレタン分解法に新たな方法論を確立した

?参 考

最新の研究状況については、右の二次元コードよりHPへアクセスください。






フォームタイムス :
ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ゴムスポンジ、塩ビ、その他高低発泡プラスチック製品全般および関連商品、唯一の総合専門新聞  

  


本九町 卓  ”ポリウレタンの環境低負荷型分解法の開発”
日本接着学会誌 54(9) pp. 343 2018   




株式会社アーケムHP :
プレスリリース「ケミカルリサイクルによりポリウレタンフォームからポリウレタン
フォームへの再生技術を発表」 

   

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長崎工業高校 新聞部 工業っこミニ