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ウクライナ化学誌「Ukr. Chem. J.」に無機化学分野の論文【第2弾】が掲載されました

 ウクライナ化学ジャーナル「Ukrainian Chemistry Journal」に野口大介技術職員(工学研究科 /教育研究支援部)の研究論文が掲載されました。「Ukrainian Chemistry Journal」はウクライナの科学誌の一つです。
  このたび、複数の原子で金属イオンに配位するキレート剤として汎用されるエチレンジアミン四酢酸(EDTA)が六座配位したランタノイド錯体111種類について、その「ランタノイド収縮」の様子を系統的に調査した研究論文が、ウクライナ化学ジャーナルUkrainian Chemistry Journalに掲載されました。
ウクライナ化学ジャーナルには、以前にEDTAとその塩(図1)に関する研究論文が、いわば第一弾として掲載されました(https://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/science/science295.html)。本研究は、その第二弾となります。


図1 エチレンジアミン四酢酸(EDTA)から4つの水素原子が電離して生成するEDTAの共役塩基である4価の陰イオン(EDTA−4H)4−の化学構造

 ここでいうランタノイド(Ln)とは、レアアース(希土類)を構成する金属であり、ランタン(La)からルテチウム(Lu)までの15種類の元素を含みます。ランタノイドは、ネオジム磁石などの強力な磁石をはじめとして、自動車用排ガス触媒やMRI(核磁気共鳴画像法)による診断を行うための造影剤などとしても応用されています。こうしたランタノイドでは、元素の原子番号が大きくなるにつれてそのイオン半径が少しずつ小さくなる「ランタノイド収縮」と呼ばれる現象が知られています。しかし、EDTAがキレート配位したランタノイド錯体に関しては、100種類余りの結晶構造データが報告されてきたにも関わらず、系統的な分析が実施されていませんでした。
 本研究の分析によると、Ln-EDTA錯体の配位数(CN)は、副次的に含まれることのある陽イオン、陰イオン、結晶水などの違いによって影響を受け、これまでのランタノイド収縮ではほとんど知られていなかったバラエティーに富んだ傾向が明らかとなりました(図2)。
今回の報告によって既知のランタノイド-EDTA錯体のランタノイド収縮に関する情報が一通り網羅され、今後の先端分野における基礎的資源の一つにもなりうると期待されます。


図2 ランタノイドの原子番号に対する水非配位のLn-EDTA錯イオンにおける中心ランタノイド原子(Ln)と配位原子(窒素原子Nと酸素原子O)との平均結合距離(Å)および配位数(CN)(interは錯イオン間、intraは錯イオン内を表す)

 依然として戦禍に見舞われているウクライナに一刻も早く平和が取り戻される日の訪れが、よりいっそう待たれます。

■論文情報 
タイトル:LANTHANIDE CONTRACTION IN CHELATES OF ETHYLENEDIAMINETETRAACETIC ACID BASED ON CRYSTALLOGRAPHIC DATA: A SHORT REVIEW.
著 者:野口 大介(長崎大学大学院工学研究科教育研究支援部 技術職員)
掲載誌:Ukrainian Chemistry Journal, Vol 89, No 9, 15-35 (2023)
URL:https://ucj.org.ua/index.php/journal/article/view/586
DOI:10.33609/2708-129X.89.09.2023.14-34

■謝 辞
本研究の一部は長崎大学卓越大学院プログラムの助成を受けた。