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国指定天然記念物カンムリウミスズメの繁殖地を長崎県で新たに発見

 長崎大学大学院総合生産科学研究科山口典之教授と北九州市立自然史?歴史博物館(いのちのたび博物館)の中原亨学芸員らの研究グループは、世界的に希少で国指定天然記念物に指定されている海鳥であるカンムリウミスズメ(図A)の繁殖地を長崎県で新たに発見しました。本種は沖合の無人島で繁殖することに加え、主な繁殖活動が夜間におこなわれるため、繁殖地の発見は極めて困難です。

●新たに見つかった繁殖地は長崎県長崎市母子島です(図B?C)。この島は東シナ海角力灘にあり、陸から4.5 km程度の距離にあります。
●本種の繁殖地を特定することは非常に難しいのですが、地元のバードウォッチャーや漁業?マリンレジャー関係者の方々から寄せられた情報がきっかけで、今回、繁殖地を発見することができました(繁殖の様子 図D?E)。
●本種の推定個体数は世界全体で5,000-10,000羽程度と言われており、繁殖地は日本西南部沿岸と韓国沿岸周辺のみに知られています。世界でもっとも希少なウミスズメ類とも言われており、これまで知られていなかった繁殖地を把握することは、本種とその生息環境の保全に貢献します。

図:(A)カンムリウミスズメ (B)母子島の全景 (C)母子島の位置 (D)卵を温めている親鳥 
(E)巣の中の卵

■研究の背景 
 ウミスズメの仲間は北半球北部に分布する海鳥です。普段は外洋で生活をしており、繁殖の際には崖地や無人島などを利用するため、人の目にふれることが少ない鳥です。カンムリウミスズメは世界で日本近海にのみ分布する希少種です。推定個体数は5,000-10,000とも言われており、国の天然記念物に指定されています。本種は油汚染や漁業混獲、さらには繁殖地での外来捕食者からの捕食による個体数の減少が懸念されており、環境省レッドリストでVU(絶滅危惧II類:絶滅の危険が増大している種)に挙げられています。カンムリウミスズメの繁殖地は、これまで41ヶ所が報告されていますが、現在も存続しているのは25ヶ所程度と考えられています。その多くは小さな無人島や岩礁であり、数十から数百つがい程度が繁殖する規模の小さいものです。そのような小さな繁殖地に、ネズミ類やネコ、カラスが侵入し、深刻な捕食被害をもたらす事例が複数報告されています。本種を守るためには、個体数の増減を把握すること、捕食者の侵入をいち早く確認し、被害を防ぐことが重要です。そのためには本種の繁殖地をできるだけ完全に把握する必要があります。今回我々は、地元の鳥類愛好家や漁業者、瀬渡し船の船長などからの複数の観察報告を手がかりに、長崎県長崎市母子島がカンムリウミスズメの繁殖地であることを新たに発見しました。

■研究成果の意義 
 本種の繁殖地が主に分布する日本西南部にはまだ調べられていない小島や岩礁が多くあります。特に長崎県は、カンムリウミスズメの観察例が多いことに加え、日本でもっとも多くの島嶼(971以上,国内島嶼の約14%)を擁するため、本種の繁殖地が見つかる可能性が以前より指摘されていました。今回の発見が、さらに他の繁殖場所の発見に繋がる契機となることが期待されます。カンムリウミスズメは生活のほとんどを外洋で過ごします。繁殖地への上陸は交尾や産卵、抱卵のためだけで、子育ても海上で行います。巣は岩の隙間などにあり、抱卵交代などの繁殖活動は夜間におこなわれます。そのため日中に島や岩礁を眺めるだけでは繁殖の有無を確認することはできません。今回の繁殖地発見に欠かせなかったのは地元の方々の情報でした。鳥類愛好家の皆様や定期船の船長は、繁殖期に本種が長崎県の沿岸にいることを明らかにしていました。夜釣りの方々を瀬渡しする船長は、母子島周辺で夜間に小さな海鳥が沢山いるという情報を提供くださいました。一般の方々の観察が、今回の発見を介し、例えば行政による保護区指定のような希少生物の保護に繋がるかもしれません。母子島でもカラスにより卵や親鳥が捕食されていることが分かりました。今後、その被害の程度を把握するとともに、必要な保護策を講じる調査?研究が進むことになります。

■論文情報 
著 者:Noriyuki M. Yamaguchi、Takayasu Amano、Tomomi Kimura、 Ryu-Ichi Mine、
Kosuke Otsuki、 Emi Yamaguchi and Toru Nakahara (2024)

題 名:Discovery of a new breeding site for the endangered Japanese Murrelet Synthliboramphus wumizusume in Nagasaki, Japan. Marine Ornithology 52: 23–26.

URL:http://www.marineornithology.org/article?rn=1555

?関連情報

日本野鳥の会 : カンムリウミスズメってどんな鳥? (wbsj.org)

長崎大学大学院 総合生産科研究科

国立大学法人 長崎大学 環境科学部