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眼鏡橋の下にオオウナギが住んでいる!?環境DNAにより長崎のウナギ類の分布を解明

 生物がどこに、どれくらい生息しているのかを知ることは、生物多様性や気候変動の影響を考える上で重要です。今回、長崎大学水産学部 八木光晴 准教授、大学院水産?環境科学総合研究科博士前期課程(研究当時)の 小野友梨夏さんらは、長崎県内の河川でウナギ類を対象にした環境DNAを調べました。
その結果、ニホンウナギとオオウナギの分布パターンが異なることや、オオウナギの新たな生息河川が明らかになりました。本研究成果は、2024年5月2日に日本動物学会の国際学術誌Zoological Scienceに早期オンライン版で公開されました。

?環境DNA (eDNA)とは
個々の生物個体からではなく、土や海水、雪、あるいは大気といった環境サンプルから採取されるDNAのこと。例えば魚が水中で移動するとき、排せつ物や粘液などを通じてDNAが水中に放出されます。時間とともにDNAは分解されるが、その前に水サンプルを採取しそこからDNAを検出することで、魚の存在を証明することができます。

図1.(A)河川ごとのウナギ類の環境DNA濃度(B)調査時の風景
(C)環境DNAが検出された河川で実際に捕まえたニホンウナギ


■ ハイライト 
○ ニホンウナギとオオウナギの生息分布を明らかにするために、長崎県内の23河川87地点で環境DNA調査を実施しました。
○ ニホンウナギは多くの河川(19河川:82.6%)と地点(56地点:64.4%)で検出されました。
○ オオウナギは8河川(34.8%)、16地点(18.4%)で検出され、大村湾に流入する河川では全く検出されませんでした。

■ 研究概要 

 ウナギの仲間には、産卵場から数千キロメートルも移動し、淡水や汽水域の生息地へと広大な地理的範囲に分散するものもいます。日本には、ニホンウナギ(Anguilla japonica)とオオウナギ(A. marmorata)の両方が生息していますが、それらの分布は異なり、特にオオウナギの正確な分布についてはあまり知られていませんでした。私たちは、九州北西部の河川において、ニホンウナギとオオウナギの分布パターンが異なると仮定して、環境DNA(eDNA)分析を23河川、87ヶ所で実施しました。その結果、ニホンウナギのeDNAは19河川(82.6%)で検出され、オオウナギは8河川(34.8%)で検出されました。また、これまで存在が知られていなかった河川においても、オオウナギのeDNAを5河川で検出しました。ニホンウナギのeDNAは、北部の9ヶ所のうち6ヶ所(66.7%)、大村湾に流れ込む河川の23ヶ所のうち13ヶ所(56.5%)、南部の55ヶ所のうち37ヶ所(67.3%)で検出されました(図2)。
両種が検出された5つの河川の10ヶ所において、両種のeDNA濃度には相関関係はありませんでした。これらの結果から、両種のウナギの分布には違いがあり、東シナ海に面した地域において長崎県がオオウナギの分布の北限である可能性が示されました。


図2
.地域別のニホンウナギとオオウナギの
環境DNA濃度の比較。

(A)ニホンウナギ、(B)オオウナギ

■ 研究者のコメント 

 水棲生物の生息状況を調べるためには、網や罠(わな)、時には電気ショッカーなどを用いて捕まえなければならないのでとても大変でした。特に、夜行性のウナギは日中、泥の中や岩陰に身を潜めて上手に身を隠しますので、見つけるのは更に苦労します。そこで、環境DNA分析という新たな技術によってウナギがいる川、いない川を調べてみようと考えたのがこの研究のきっかけです。環境DNAとは、生物由来の川や海などの環境中に含まれるDNAの総称です。これを採取?分析すると、その環境に存在する生物の種類や生物の量の推定が可能となるのです。眼鏡橋で有名な中島川でもオオウナギの環境DNAが検出されました。もしかしたら、オオウナギもぼんやりと水面に映るランタンの光を見ていたのかもしれません(写真1)。現在、水産学部の附属練習船の長崎丸や鶴洋丸といった大型船を活用して、対象域を河川から海洋にも拡大して調査を続けています。今後の謎解きにもご期待下さい。

写真1.ランタン揺れる眼鏡橋の夜景

【論文情報】
タイトル:Environmental DNA Reveals Geographic Distributions of Two Eel Species, Anguilla japonica and A. marmorata, in Western Kyushu, Japan(環境DNAで明らかにした九州西部のニホンウナギとオオウナギの地理的分布)
著    者:小野友梨夏、土田真平、平坂勝也、明正大純、藤本真悟、清水健一、八木光晴
掲 載 誌:Zoological Science, Vol.41, No. 4 (2024)
DOI:https://doi.org/10.2108/zs230103

【参考論文】
Yurika Ono, Katsuya Hirasaka, Taijun Myosho, Shingo Fujimoto, Mitsuharu Yagi, 2023, Environmental DNA concentrations of Japanese eels in relation to habitat characteristics, Aquaculture Science, 71(1), 45-48.

【関連情報】
?八木光晴 准教授 研究室
https://sites.google.com/view/yagi-lab/

?長崎大学水産学部
https://www.fish.nagasaki-u.ac.jp/

?長崎大学大学院総合生産科学研究科
https://www.ist.nagasaki-u.ac.jp/